LocoTools
LocoToolsは、Digitrax社のDCC製品の通信に使用されている「LocoNet」プロトコルを、PC接続インターフェースを通じてWindows上でやりとりするためのソフトウェア群です。
LocoToolsの構造と概要
コマンドステーションとコンピューター インターフェースを通じてLocoNet信号のやりとりを行うサーバーである「LocoTools Server」を軸に、それ以外のソフトウェアは別々のクライアント アプリケーションとして実装されています。
クライアント アプリケーションとして、現在のバージョンでは次のようなものが含まれています(画面写真は一部古いバージョンのものです)。
LocoTools Simple Throttle/Simple Switcher
列車の走行制御(Simple Throttle)、ポイントの切り替え(Simple Switcher)を行うことができます。
LocoTools Programmer
デコーダのプログラミング(アドレスやCV値の読み書き)をGUIで簡単に行うことができます。
LocoTools FastClock Viewer/Manager
LocoNetの機能のひとつである「FastClock」(倍速時計機能)を設定・表示するためのツールです。
この時計はLocoNetスロットル(DT400など)上やサードパーティ製パネル時計(Logic Rail Technologies製など)でも表示することができ、ダイヤ運転を行うときなどに利用します。
LocoTouch Host
スマートフォンやタブレットなど、Android/iOSを搭載したポータブル デバイスからLocoToolsの制御を行うためのホストとなるソフトウェアです。
LocoTouchについて詳しくは、LocoTouch紹介ページを参照してください。
Switch Manager
画像データ(PNG形式)とXML形式による定義ファイルを読み込み、駅やヤードのポイントを画面上に表示。クリックで転換を行えます。
画像は「全部のポイントがClosedの状態」と「全部のポイントがThrownの状態」の2枚を用意し、実際の状態に連動して画面上でもポイントの開通方向が切り替わるようになっています。もちろん、画像ですので線路配置図に限らず、ボタンを並べたようなデザインにすることもできます。
ポイントを直接クリックするほか、画像状の任意の領域(駅ホームなど)をクリッカブル エリアにすることが可能で、それについては複数のポイントをまとめて切り替えるように指定することができます。これにより「番線指定」でのホームやヤードへのポイント開通を一括で行えます。
主な特徴
- サーバーとクライアントの通信はTCP/IPを利用しているため、LAN上の別のコンピューターから操作することもできます(標準ではセキュリティの観点からこの機能は無効とされています。使用するためにはIP設定の変更が必要です)。
- LocoToolsは純国産・日本語ソフトウェアです。
- LocoToolsは「Digitrax LocoNet Personal Edition 1.0」をベースに実装されており、このライセンスに基づいてフリーソフトウェア(ノンサポート)として公開されています。
動作環境
コンピューター側に必要な環境
- Microsoft Windows 10/8.1/7
- LocoNetとコンピューターの接続機器
上記以外のWindowsでの動作確認・動作保証は行っていません。
TCP/IPの通信を妨害するファイアウォールソフトウェア(「Windows ファイアーウォール」を含む)を利用している場合は、LocoTools ServerおよびLocoTouch Host(LocoTouchを使用する場合)との通信を許可する設定を行う必要があります。
LocoNetとコンピューターの接続についての詳しくは次章を参照して下さい。
利用するために必要なDCC製品
LocoToolsが対応し、動作確認を行っているハードウェアは次の通りです。
- Digitrax社コマンドステーション「DCS100」「DCS200」「DCS50K」(DB150は不可)
- Digitrax社「MS100」コンピューター インターフェース+シリアルポート(RS232C互換)
- Digitrax社「PR3」USBコンピューター インターフェース(MS100互換モードでの動作)
- ROCO/FLEISCHMANN製コマンドステーション「Z21」(LocoNet互換部分での動作)
DB150は双方向通信をサポートしていないため利用できません。今後の製品についても「DB」系列は未対応となる可能性が高いです。
コンピューター インターフェースについては、MS100と互換性のあるものなら動作すると思われます(LocoBufferなど)。
シリアルポートについて
MS100やMS100互換のシリアルアダプタを用いる場合はシリアルポートが必要になりますが、「コンピューター のマザーボード上に直接実装されているシリアルポート」に接続することを推奨します。
シリアルポートが搭載されていないコンピューターの場合は、USBシリアル変換アダプタが必要になりますが、一部の製品ではMS100との通信に必要な特殊なボーレートに対応していないものがあります(例として、IO DATAの「USB-RSAQ2」は未対応でした)。通信がうまく行かない場合はこの点をご確認ください。
こちらで正常動作を確認したUSBシリアル変換アダプタとしては、
- ライトアップ社「RUUSRL1 USB->シリアル変換ケーブル(AA)」
- Keyspan社「USA-19HS USBシリアル変換アダプタ(AA)」
があります(LocoTools Ver1.01より対応)。
また、MS100はD-Sub25ピンコネクタですが、一般的なWindowsコンピューターのシリアルポートはD-Sub9ピンコネクタですので、コネクタ形状の変換アダプタや双方のコネクタ形状を持った接続ケーブルを利用する必要が生じます。これらの選定の際は、ピンが「クロス結線」になっているものではなく、「ストレート結線」になっているものを選定してください。
ダウンロード
LocoTools 本体
インストール時、プログラムの動作に必要な「Microsoft Visual C++ 2015 Redistributable」(Visual C++ ランタイム ライブラリとして知られているもの)が同時にインストールされます。お使いのコンピューターにこのランタイム ライブラリがインストールされていない場合、インストールに数分程度時間がかかる場合があります。
LocoTools 本体 Ver2.00以降をインストールしている場合は、そのまま上書きインストールによるバージョンアップ(設定引き継ぎ)が可能です。LocoTools 本体 Ver1.01以前を使用していた場合は、先にアンインストールしておいてください。
自己解凍型セットアップ プログラム形式で配布しています。ダウンロードしたファイルを実行することでインストールを行えます。
プログラムへのショートカットがスタートメニューに登録されますので、まず「LocoTools ヘルプ」を起動してお読み下さい。
アンインストールはWindowsの「設定」にある「アプリ」-「アプリと機能」(またはコントロールパネルの「プログラムの追加と削除」)から行うことができます。
インストール時にWindowsの警告が表示される場合
インストール開始時、以下のようなセキュリティ警告の画面が表示される場合があります。
プログラムに電子署名が施されていないための表示となりますが、実行に問題はありませんので、ファイル名を確認の上、「ユーザー アカウント制御」については「はい」を、「WindowsによってPCが保護されました」の場合は「詳細情報」をクリックし、表示された「実行」ボタンを選択することで続行してください。
LocoTools SDK
こちらはLocoToolsクライアント ソフトウェアの開発のためのソフトウェア開発キット(SDK)となります。詳しくは同梱のドキュメントを参照してください。
本SDKおよびSDKを用いて開発したプログラムを使用するためには、LocoTools 本体 Ver4.00以降のインストールが必要です。
本SDKには、TCP/IPパケット送受信エンジンをカプセルした.NETクラス ライブラリを利用するVisual BasicおよびVisual C#のサンプル プロジェクト(Windows FormsおよびWPF、VisualStudio2010以降に対応)が同梱されています。
また、専用のActiveXコントロールを使用するサンプルも含まれています。こちらはActiveXを利用できる環境であれば、.NET Framework対応言語の他に、例えばネイティブC++やDelphi、WSHのVBScript/JavaScript(JScript)、アプリケーションのマクロ言語などからも制御を行うことができます。
旧バージョンのダウンロード
最新バージョンが正常動作しない場合、旧版の対応環境が必要な場合などは旧バージョンをご利用ください。
- LocoTools 本体 Ver3.10(locotools310.exe) ※Windows XPに対応したバージョンはこちら
- LocoTools 本体 Ver3.00(locotools300.exe)
- LocoTools 本体 Ver2.00(locotools200.exe)
LocoTools 本体 Ver1.01以前を使用していた場合は、先にアンインストールしておいてください。
奥付
更新履歴
2016/03/08
LocoTools Ver4.00およびLocoTools SDK Ver4.00を公開。
- Windows 10に正式対応、Windows XPおよびVistaは対応保証外に変更
- 通信ポート番号のデフォルト値を9851から1234(JMRI/LocoNet over TCPの標準値)に変更(上書きインストールの場合は以前の設定を引き継ぎ)
- Programmerのユーザー インターフェースを改良し、数値の上下変更、時間の掛かる処理の進捗表示、プログラミング モード変更などに対応
- デコーダのプログラミングを行う際、従来はDirect Modeで行っていたのをPaged Modeに変更(モードの変更も可能)
- Switch Managerを試作から昇格し追加
- Simple Throttleで、F28までのファンクション操作に対応
- 「LocoToolsの設定」で、サーバーへの接続確認テストを行えるようにした
- LocoTools Serverのオプションで、LocoBufferなどに対応するためシリアル ポートのボーレートを変更できるようにした
- LocoTools Serverのオプションに、LocoNetに接続したシリアル ポートを自動検出するボタンを追加
- 64bit WindowsでDigitrax PR3を使用するとうまく動かない症状を改善
- Z21でプログラミングがうまく動かない症状を改善
- Windowsの高DPIモードに対応したユーザー インターフェース グラフィックを追加
- LocoTools SDKを更新し、64bit版のActiveXコントロールを追加したほか、F28までのファンクション操作に対応
2012/07/26
LocoTools Ver3.10およびLocoTools SDK Ver1.00を公開。
- LocoTouch(アプリケーション側)の今後の改良・機能強化に備え、LocoTouch Hostとアプリ間の通信部分の強化
- LocoTools SDKで使用する.NETクラスライブラリおよびActiveXコントロールを本体側に含めるように変更
- 機能面での不具合修正や新機能追加はありません
2011/12/18
iOS版LocoTouchを公開。
2011/12/04
LocoTools Ver3.00を公開。
- LocoTouch Hostを追加
- FastClock Manager、FastClock Viewerを試作ソフトウェアから昇格し追加
- Server:COM10以降の番号のCOMポートが使用できない不具合を修正、安定性の向上
- プログラムアイコンのリファイン
- 動作対象をWindowsXP/Vista/7以降に変更
LocoTools Ver3.00に組み込まれたため、試作ソフトウェア置き場からはLocoTools FastClock Manager/Viewerを削除。
試作ソフトウェア置き場およびJMRIとの相互運用を別ページ化。
2011/03/01
- LocoTools FastClock Manager/Viewerを公開。
- 「JMRIとの相互運用」を独立項目化、説明追加。
2010/07/20
LocoTools SDK Ver0.50βを公開。
2007/03/05
LocoToolsマスコンドライバ Ver0.71βを公開。
- 旅情編コントローラのデバイスドライバが正常にインストールされない問題を修正。
2007/02/13
LocoToolsマスコンドライバ Ver0.70βを公開。
- タイトー製「電車でGO!旅情編 コントローラ(PlayStation2版)」に対応。
2007/01/13
ページ構成を大幅改訂。
LocoTools本体 Ver2.00、LocoTools Switch Manager Ver0.40β、LocoToolsマスコンドライバ Ver0.60β、LocoTools ADC Driver Ver0.70βを公開。
LocoTools本体の変更点:
- Windows Vista対応に合わせてファイル構成を変更
- 設定ファイルをプロファイルフォルダに保存するようにし、設定の変更を手動ではなく「LocoToolsの設定」で行えるように
- Programmer:安定性の大幅向上、2桁・4桁アドレス対応の厳格化、OperationMode対応
2006/12/26
Switch Manager Ver0.30βを公開
2006/11/28
動作確認USB変換アダプタ1点追加
2006/04/14
本体 Ver1.01を公開
- Server:一部USB-シリアル変換アダプタでの動作に対応
- Programmer:特定条件でプログラミングに失敗する不具合を修正
2005/10/25
本体 Ver1.00を公開、追加ツールキット Ver0.50 Technology Previewを公開
- Simple Throttle:ファンクション制御に対応
- Programmer:4桁アドレスの読み書きが不安定だった不具合を修正
- Programmer:「オートリセット」でアドレスが3に戻らない不具合を修正
2004/11/12
本体 Ver0.80βを公開