KATO 313系レビュー

KATOから発売された313系のレビューおよび実物関連情報。

製品発売形態

発売された模型は以下の形態のものである。

0番台 基本セット

クモハ313-0+モハ313-0+サハ313-0+クハ312-0

東海道線用で、転換クロスシート。4両編成。

模型ではモハ313が動力装備となる。

300番台 増結セット

クモハ313-300+クハ312-300

東海道線用で、転換クロスシート。2両編成。0番台への増結用となるほか、主に米原〜大垣の区間運用や美濃赤坂支線などで運用。

0番台との差はコンプレッサやSIV容量の差となっており、模型では表記類を除けば型には一切の差がない。

模型では動力無し。

3000番台 2両セット

クモハ313-3000+クハ312-3000

山間・寒冷地向けのため、ドアスイッチ装備。またセミクロスシート構造のため、窓桟配置などが異なる。模型ではドアスイッチの印刷が入るほか、椅子板と窓ガラスが別の構成となる。またクモハ屋根は運転台側にもパンタ増設準備工事が施されており、模型でも再現されている。

模型ではクモハ313が動力装備となる。

製品化されていない形態

模型化されていない番台区分としては以下のものがある。

1000番台

クモハ313-1000+サハ313-1000+モハ313-1000+クハ313-0

中央西線用で、転換クロスシート+車端部ロングシート。クハはトイレがある関係上車端部にシートが無いため0番台と共通。その他の仕様は0番台とほぼ変わらない4連。

模型では0番台の表記を変えれば充分雰囲気の再現は可能だが、それだけであることからほとんど目立たない危険性も。

1500番台

クモハ313-1500+モハ313-1500+クハ313-0

中央西線用で、転換クロスシート+車端部ロングシート。モハ313-1500は0.5Mで片側の台車だけ電動機付き、パンタ無し。

模型で製作する場合、厳密にはモハ313-0とは床下機器が異なるが、モハ313の屋根をサハ313のものに替えて表記を直し、クモハ+モハ+クハとすれば雰囲気は再現できるはず。

0番台基本セット+300番台増結セットを購入し、サハにモハのASSY床板を付けて片側の台車をモハ用に交換。床下機器は拘らないならそのままで。モハは屋根をサハのASSYに交換し、床下機器と台車には目をつぶるのが得策だろう。

8000番台

クモハ313-8500+モハ313-8500+クハ313-8000

中央西線「セントラルライナー」用。走行機器類は1500番台に準じ、室内が特急車両並みに豪華になっている。

MODEMOから製品化されているがKATOからは製品化されていない。製作する場合は1500番台と同じ加工を施し、塗装を変更する必要がある。

2006年度増備車

2006年から113・115・123系の置き換えや快速列車の充実などを目的として大量増備が開始された。これらのロットについてはフルカラーLEDの搭載や走行性能の改良などが行われており、模型で製作する場合にはアンテナ設置位置の変更が主な加工点となるだろう。

模型写真

ホビーセンターKATO DCCオーナーズレイアウトにて。DCCのためヘッド・テールライト共に点灯中。

最新の中京地域を再現するには欠かせないモデルである。

3000番台先頭部。ダルフィニッシュ部分はグレーっぽい色に塗り分けられている。目立つようにフラッシュを焚いて撮影してみた。

MODEMO製品と異なり朱色帯には上下の白帯も入れられているが、微妙に幅のバラつきがあるようだ。

先頭部のボディマウントKATOカプラー密連型であるが、まるでTNカプラーのような構造・取り付け方となっている。

屋根およびパンタグラフ周り。KATOらしいカッチリとした仕上がりで。これといった不満は無い。

クモハのホロを外してクハと並べてみる。クハは幌枠が銀色に塗装されていることがわかる。

個人的に気になったのは先頭マスクの白色で、211系のような暗い色となっているのだが、実車は本当に白い色をしており、これでは暗すぎるという印象が強い。

MODEMO製品との比較

MODEMOの313系との比較だが、まず走行性能と価格では明らかにKATOに分があることは否めない。MODEMO製品の走りを良くするためにKATOのASSYに交換しようという向きは非常に多いようであるが、とりあえずMODEMOも中間車の台車から集電板を抜き取ってしまうと大分走行性能は改善される。

それでは外観を見ていってみよう。

左側がKATO。これといって大きな差は無いように思える。ただ先頭マスクの白色の印象はMODEMOのほうが優れていると感じた。

カプラー形状もTNカプラーであるMODEMOのほうが個人的には好みであるが、気になるならKATO製品もTN化してしまえばいいのでマイナス点とは取らない。

左側がKATO。一見して差が分かるのはドア窓とダルフィニッシュ仕上げ部分の表現だが、これらについてはどちらもKATOに分があるように感じる。MODEMOのダルフィニッシュ部分は明らかなグレー塗装であり、少々暗いのと艶がありすぎなのが気になる。

また、自分が怠惰なだけであるのだが、KATOは表記類がすべて印刷済みになっているので、MODEMO製品にシールやインレタを貼ることを考えると遥かに楽だった。

MODEMO製品は朱色帯の上下の白色縁取りが省略されているのが有名だが、それをしっかりと表現したKATO製品も、実際にはあまり白帯が目立っていないという印象。

上側がKATO。KATOのほうはアンテナと信号炎管のパーツを取り付けていない。全体的な成形にはほとんど差がないように思える。

MODEMO製品は屋根とベンチレータが別パーツとなっており色も分けられているのだが、個人的には最近の車両は屋根もベンチレータも同じグレーで良いと考えており、KATO製品のほうがそれに適っている。MODEMO製品もグレーを吹いてしまえば問題なさそうだ。

3000番台クモハの屋根先頭部のパンタ増設準備工事部分については、MODEMOは本当にパンタ穴が空いてしまっているのが有名であり、気にかかる。実車にパンタが増設されてしまえばこれは問題が無くなるだろうが、それはいつのことだろうか。

上側がKATO。こちらも、まだKATOには避雷器を取り付けていない。

このあたりの成形についても、ほとんど差がないように感じる。

パンタグラフはMODEMOはTOMIXのOEMであり、さすが二大メーカーのものとあってどちらも遜色ない。だが、混在させて所有するつもりであれば、上記の屋根グレー塗装とともにパンタグラフもどちらかに統一しておきたいところかもしれない。

気になる点

300番台増結セットのクハの車番表記にボケやニジミが目立つ個体が非常に多い。またクモハの表記が細くてカスレているものもある。このあたりは注意して良い物を探したほうが良さそうである。

また自分の購入した3000番台の動力車は急発進や急停車を行うと非常に高い確率で脱線した。これはボディマウントカプラーの採用により台車の首振りに自由度が増しており、急な速度変化にゴムタイヤの摩擦が干渉して脱線しているものと思われる。

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