DCCの採用で分割併合運用が簡単になる。ここでキーとなるのがマグネマティックカプラーである。
DCCの楽しみ方の一つに、分割併合運転がある。これは双方の編成に異なるアドレスを割り振ったデコーダを搭載し、併結時は強調運転を行い、分割後はそれぞれのアドレスで運転する形態となる。
分割・併合で大きな課題となるのが実際に分割・併合を行うギミックである。Nゲージにおける分割・併合のギミックとしては、ひとつはアーノルトカプラーの下側のピンを押し上げる方法が知られているが、当然ながらピンの先端の表面積が狭く、これを押し上げるためのギミックの搭載も難しい。そこで現在一般的に普及しているのが旧称ケーディーカプラー(Kadee Coupler)、今はマグネマティックカプラー(MAGNE-MATIC Coupler;Microtrains社の登録商標)と呼ばれているカプラーである。
マグネマティックカプラーは密着自動連結器を模した形態をしており、下に鉄製のピンが付いている。このピンが専用のアンカプラー線路の上を通過すると、アンカプラー線路に設置された磁石により左右に引っ張られ、カプラーが左右に振れて解放される仕組みとなっている。またカプラーを押しつければ連結されるので列車の自動連結も可能である。
日本ではKATOがこのカプラーの総代理店となっており、KATOがパッケージしたマグネマティックカプラーを模型店で購入することができる。これには複数の種類があり、KATO製車輌に簡単に搭載できるような形態をしたもの、ボディマウント(ネジ止め)式のものなどが存在する。
カプラー自体の説明、組み立てや運転操作などについては本稿の目的と少しずれるのでこのくらいの説明に留めておくことにする。詳しくはKATOの総合カタログに掲載されているので参照されたい。
KH Train Factoryでは、マグネマティックカプラーを日本型車輌にもっと簡単に搭載できないか研究を進めた結果、ボディマウント式TNカプラーと互換性のある搭載方法を用いることで、現在幅広く普及しているTNカプラー搭載可能車輌およびTNカプラー搭載用パーツなどを流用するという結論を導き出した。
写真を見れば解決方法は一目瞭然で、ボディマウント式TNカプラーの台座を利用する形態となる。ここでは見やすくするためにグレーのものを用いている。ボディマウント式TNカプラーには複数の種類があるので、搭載したい車輌に適合した種類のTNカプラーの台座を用いてほしい。大きな違いとしては品番0331と品番0334のスカート取付穴の有無がある。
TNカプラー側は台座のみを使用する。カプラー部分は台座から外すことができるようになっている。このためカプラー部分を破損させてしまったものも取り外して利用することが可能である。
マグネマティックカプラーは品番11-712番を利用した。これはスカートボディマウント用と称するタイプで、カプラー取付部分が平坦な形状をしており好都合である。
あとは両者を、高さ調整用にt1.2のプラ板を介して接着することで完成である。なお位置決めには充分注意が必要で、別売されているマグネマティックカプラー用スタンダードゲージを利用するとよい。